痔
仮名については「ぢ」とも表記するが、歴史的仮名遣いでは「ぢ」と書かれたことや、製薬会社のヒサヤ大黒堂が自社の痔疾用薬の広告に使ったものが広まったといわれる。英語ではhemorrhoidsまたはpiles。ちなみに痔になった人のことを、痔持ちと言う。痔は排便の障害となることがある。
直立二足歩行するヒトの場合、直腸や肛門付近の血管は、頭の方向に血液を送っているため、普段から非常に大きい圧力がかかっている。そこに、長時間の立仕事や座り仕事などによる肛門付近での体液の鬱滞、便秘または下痢を繰り返すことなどで肛門部に強い力が幾度もかかる事、などの要因が加わって痔を発症する。したがって痔は、椎間板ヘルニアやO脚などと並んで直立二足歩行であるヒトの宿命であるといえる。ヒト以外の動物は基本的に痔を患う事が無い。
なお排便時などの出血を痔によるものだと誤解し、直腸癌など放置すると致死的となる病気を放置している場合があるため注意が必要である。また一口に痔と言っても種類によって対処法が違うので、痔になってしまった場合は、どの種の痔なのかも知る必要がある。したがって痔になったら検査を受けることが望ましい。
痔核(じかく)とは、過度のいきみ、血行障害などにより生じる肛門部の腫れであり、一般に「いぼ痔」とよばれるものである。肛門の歯状線の中にあるか外にあるかによって、内痔核、外痔核に分けられる。 歯状線より上方の上直腸静脈叢に発生したものを内痔核、歯状線より下方の下直腸静脈叢に発生したものを外痔核という。
内痔核は、歯状線よりも内側にあるために基本的に痛みはないものの、排便時に出血が生じやすい。しかも血液が垂れるくらいの量の出血をすることもある。大きくなると、肛門外に脱出することもある。 肛門外に痔核が脱出した場合、軽度ならば、脱出した痔核を肛門内に戻すことが可能であり、薬で治療できる場合がある。しかし、戻しても排便に関係なく脱出が起こるようになると、少量ながら便失禁がおこることもあり、この場合は手術が行われることもある。さらに進行すると脱肛した痔核が指などで肛門内に戻そうとしても戻らなくなり、体液が鬱滞し激烈な痛みを生じ、排便に関係なく出血することもある。この状態を嵌頓痔核(かんとんじかく)と言い、緊急処置が必要な病態である。 それから全周性に生じた内痔核が、肛門外に脱出した場合を脱肛と呼ぶ。 ちなみに直腸が全周性に脱出する直腸脱も脱肛と呼ばれるが、直腸脱は、直腸粘膜が脱出したもので、痔核とは違う病態である。
外痔核は、内痔核と違い問題になることは少ない。ただし肛門外に血豆が出来た状態(これを血栓性外痔核と言う)になると、歯状線より外側にあるために、しばしば痛み(場合によっては激痛)を起こすことがある。
上記にある通り、痔核は出血を伴うこともあり、しかも出血量が多いこともあるので、痔核を患った後、大腸などに異常が生じて出血した場合に、それも痔核によるものと思い込み大腸癌などの病気に気づくのが遅れる可能性も指摘されている。さらに痔核を治した後でも、痔核を一度患ったことがあるために再び痔核になったと思い込み、出血をしても驚かず、大腸癌などの病気に気づくのが遅れる可能性も指摘されているので注意が必要である。したがって出血がある場合は、別な疾病である可能性を考慮し検査を受けるべきである。


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